標準語で「せつない」という言葉があります。
圧迫されて苦しい。胸が締め付けられる思いでつらい。といった意味で使われる言葉です。
これに似た発音の出雲弁で「せつい」というのがあります。
似通った部分もありますが、ちょっとニュアンスが異なるのです。
出雲弁の「せつい」はいったいどのような意味なのでしょうか。
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「せつい」の意味
「せつい」は、主に身体的にきつい、苦しいなどの意味合いで使われます。
「せつい」の使い方
例文1
「いやぁ、今日の体育は大変だったよな」
「そうだな。マラソンだったけんせついわぁ」
(そうだな。マラソンだったからきつかったなぁ)
例文2
「毎日、畑仕事にせいがでるねぇ」
「年取ると、農作業がせつい」
(年を取ると、農作業がつらい)
例文3
(病院の待合室などで看護師さんが患者の老人にかける声かけ)
「どう?せついことない?大丈夫?」
(どう?苦しくない?大丈夫?)
出雲弁と東北方言の類似について
出雲弁も東北方言もいわゆる「ズーズー弁」だといわれます。
発音を聞いても、確かにとても似ています。
江戸時代、東北地方の日本海側と島根県は北前船で結ばれていました。
そのために言葉が似通ったとの説があります。
また、かつて中央で使われていた言葉が次第に周辺地域に移動し、中央で使われなくなってもそのまま残るという考え方もあります。
この不思議な類似を使った推理小説が松本清張の「砂の器」です。
東北弁に似た発音をもとに捜査を東北に絞ったが、まったく手掛かりがありません。
あるとき、偶然に東北弁と出雲弁の類似性に気づき話が進展します。
さいごに
状態を表す方言はその地方独特のものになることが多いです。
こうした「血が通った」方言は後世に残したいものですね。
その他の島根県の方言は「島根県の方言一覧」を、日本各地の方言は「日本各地の方言一覧」からお調べ下さい。
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